韓国古典を外国語に

2014年06月08日 22:05

5月14日、高麗大学の韓国古典翻訳センター(民俗文化研究院付設)がオープンした。韓国の古典の世界化に向け、第一歩を踏み出すわけだ。センター長に迎えられたのは、韓国古典英訳の開拓者、チェ・ビョンヒョン(최병헌)湖南大学英文科教授(64)。チェ教授は2003年、壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の原因や国難克服の過程を記した柳成竜(유성룡:ユ・ソンリョン)の『懲毖錄(징비록)』=国宝第132号=を『The book of Corrections』というタイトルで英訳した。10年には、朝鮮後期の実学を集大成したチョン・ヤクヨン(정약용)の『牧民心書(목민심서)』を『Admonitions on Governing the People』というタイトルで翻訳、それぞれ米国で出版した。中国や日本の古典に比べ100年以上も遅れた韓国古典英訳の分野で、奮闘してきた人物だ。漢文で書かれた古典をハングルに翻訳したり、韓国現代文学を英語に翻訳したりする機関は存在するが、韓国の古典を英語など外国語に翻訳しようと乗り出したのは、韓国古典翻訳センターが初めてだ。それだけに、チェ教授の期待は大きい。チェ教授は「『朝鮮王朝実録(조선왕조실록)』全1893巻のうち『太宗実録(태종실록)』15巻の翻訳だけで2年以上もかかった。『承政院日記(승정원일기)』『日省録(일성록)』など無数にある韓国古典を世界に知らしめなければならないが、一人の力では足りない」と語った。チェ教授は「これまで自分一人で悩みながら見ていたものを、クロスチェックしてもっといろいろな用例を探し、ぴったりな言葉を見つけ出す作業が楽しい。10年以上一人寂しくやってきた作業を同僚たちとやるため、深みのある研究が可能になり、スピードも上がった」と語った。実際、一人で翻訳すれば2年はかかると予想していた朴斉家(박제가:パク・チェガ)の『北学講(북학강)』は、今年10月にも訳が終わり、来年初めには出版できる見込みだ。チェ教授は、同センターの開設が本格的に話し合われるようになった今年3月から毎週ソウルに出張し、同僚の教授・研究員5人と共に『北学講북학강』の翻訳作業を行ってきた。チェ教授は、『懲毖錄(징비록)』を翻訳した際「韓国の古典を出版してくれる人はいるのだろうか」と心配していたという。しかし現在、東洋学・韓国学を教える米国の大学では『懲毖錄(징비록)』を「必読書」に指定している。今月には、チェ教授が翻訳した『太宗実録(태종실록)』が米国ハーバード大学の出版部から出版される。チェ教授は、湖南大学を定年退任する来年まで、兼任の形でセンター長を務める。