韓国の空港が「姥捨て山」
国籍を問わない現代版「姥捨て山(고려장)」が韓国の空港で起きている。家族から捨てられ空港内で行くあてもない状況になった人は1人や2人ではない。彼らの状況を見ると、映画『ターミナル』はあまりにもロマンチックだ。仁川空港(인천공항)地下1階広場(지하 1층 광장)。カートを引っ張る高齢の外国人女性の姿がある。ある場所に座ると食事をし、すぐに眠りについた。昨年末に韓国に入国したこの女性は、これまで空港内の免税区域(면세구역)を転々としていたが、正式に入国手続きを踏んだ後は住みかを待合室(대합실)側に移した。この女性の国籍はドイツ(독일)。韓国の居住権はなく、3カ月後には出国しなければならないが経済力がない。厳しい事情を知った空港側は、スイス(스위스)に住む子どもたちを探し出し連絡を取ったが、自分たちは知らないことだとして連絡を断った。韓国の空港で欧州版姥捨て山(유럽판 고려장)が起きているのだ。63歳の韓国人女性もいる。20年間にわたり米国で移民生活をしていたが、昨年8月に息子に会いに韓国に来てこうした状況になった。女性は、「息子と娘が米国にいます。娘から電話がきて、兄さんが韓国に行ったから韓国に行かなければならないと。息子を探さなければなりません」と話した。長期にわたる外での生活に疲れた様子の女性。彼女は息子への思いから涙声で、「息子が母の顔とわからないほど顔が傷ついて… 5日も6日も食べられず…」と話を続けることができなかった。この空港にはこうした境遇の人たちがもっといるという。ときめきと出会いの場所である空港が、彼らには子どもたちに捨てられ投げ出された生き別れの場所(생이별 장소)となっている。