韓国のベストセラー「土地」完訳版 日本で出版へ

2015年09月24日 19:44

東京で韓国関連書籍の出版社クオン쿠온を運営する金承福(キム・スンボク:김승복)氏が、韓国人に広く親しまれる大河小説の一つ、朴景利(パク・キョンリ:박경리、1926∼2008)の「土地(토지)」全20巻(전 20권)の日本語版(일본어판)出版を目指している。「土地(토지)」5部作のうち1部が1980年代に日本語版(일본어판)で出版され、近年には学生向けのダイジェスト版(다이제스트판)が出ているが、完訳版(전체 번역본)はまだない。金氏は来年中に1~2巻、7年かけ全20巻(전 20권)を出版する計画だ。費用は約1億円と見積もる。作者(故人)の娘から日本語版(일본어판)出版に対する許可を得て、版権を持つ韓国の出版社と契約の協議を進めている。7月には日本人の翻訳家らが翻訳作業に入った。事業としてみると無謀な挑戦ともいえそうだが、金氏の考えはシンプルだ。「作品そのものがいいじゃないですか。スケールが大きく、文体は繊細で…。世界の文学に肩を並べられる作品であり、韓国人が誇るべき小説だと思う」と答えた。金氏自らも韓国人作家の作品を日本語に翻訳しクオン(쿠온)から出版する一方で、韓国の作品を日本の大手出版社に紹介している。クオン(쿠온)の代表作には、申庚林(シン・ギョンニム:신경림)や殷熙耕(ウン・ヒギョン:은희경)、韓江(ハン・ガン:한강)ら韓国人作家の作品を紹介した「新しい韓国文学シリーズ(새로운 한국 문학 시리즈)」がある。また、金氏は7月に本の街、東京の神保町(간다진보초)にブックカフェ(북카페)「CHEKCCORI(チェッコリ:책거리)」をオープンした。日韓の作家によるトークイベントや両国出版関係者の交流の場にもなっている。ただ、金氏はこうした活動が特に日韓関係に結びつけられることには負担を感じている。「好きでやっていることで、それを喜んでくれる日本の人たちがいるからだ」と話した。