集団的自衛権・日米同盟強化に 対応しなければならない韓国
米国が3日、日本の集団的自衛権行使(집단적 자위권)、防衛予算増額(국방 예산 증가)を歓迎する立場を表明し、北東アジアの安全保障情勢が複雑化している。日韓関係が首脳会談の日程すら決まらないほど悪化している状況で、日米軍事同盟(미·일 군사 동맹)の強化が韓半島にどんな影響を与えるか注目される。韓国政府は米国が日本の集団的自衛権行使を公式に歓迎すると表明した以上、反対ばかりしてもいられないとみている。そこには日米両国の利害関係が一致して推進される事柄を韓国の力では阻止できないという現実的な判断がある。韓国は日本の集団的自衛権に関する憲法解釈変更を注視し、韓国政府としての立場を最大限貫いていく構えだ。韓国政府は米国が日米同盟強化を契機として、日米韓による軍事同盟体制を構築しようとする場合、韓国の負担が増大することを懸念している。梨花女子大(이화여대)の朴仁煇(パク・インフィ:박인휘)国際学部教授は「米国が韓国の戦時作戦統制権移管の再延期を受け入れる代わりに、日韓の軍事的協力を求め、国防費の増額、韓国型ミサイル防衛(KAMD)と米国のミサイル防衛(MD)の連携などを迫ってくる可能性がある」と指摘した。こうした中、韓国政府は日本の集団的自衛権確保が当面韓国の安全保障を脅かすことはないと評価している。韓国政府は日本の自衛隊が韓国の領土や領海で作戦を展開するには、韓国の同意が必要となるため、事実上不可能だと説明している。また、一部には日本が集団的自衛権を持てば、北朝鮮の突発事態をはじめ、韓国の安全保障を脅かす状況が生じた際、後方支援を担う在日米軍の補給路が安全になるとの見方もある。今回の日米共同声明で米中関係が悪化する可能性が高まれば、韓国の外交には大きな負担となり得る。北朝鮮問題に対処するための米韓中の3者協力が影響を受けることになり、韓国にとっては不利な状況だ。誠信女子大(성신여대)のキム・ヨルス(김열수)教授は「最悪のシナリオは日本と中国が尖閣諸島をめぐり、現在の対立状態から紛争状態にエスカレートすることだ。その場合、韓国は日米か、中国かという選択を迫られる可能性がある」と述べた。日米軍事同盟が米韓軍事同盟より優先扱いされる状況を韓国政府が非常局面と認識し、米国との関係をさらに緊密化することで、韓国の立場を貫くべきだとする提言が相次いでいる。韓東大(한동대)のパク・ウォンゴン(박원곤)教授は「米日同盟が強化される流れから、韓国が排除されないように、韓国も『韓半島の範囲内では主導的な役割を果たす』というメッセージを米国に発するべきだ。そのために韓国軍の戦力構造再編など改革も速やかに終える必要がある」との意見だ。
水面下の対話ルートも断たれたように見える日韓関係を速やかに修復すべきだとの意見も少なくない。世宗研究所(세종연구소)の陳昌洙(チン・チャンス:진창수)日本センター長(일본센터장)は「日本の集団的自衛権行使が現実となる状況で、韓国も自衛隊の作戦範囲などに意見を述べるべきだ。歴史問題には原則に基づき対応するが、安全保障問題には柔軟な姿勢で日本と協議する必要がある」と主張した。