産経問題で与野党が攻防
旅客船「セウォル号세월호」沈没事故当日の朴槿恵(パク・クネ:박근혜)大統領の所在に「空白の7時間」があったと報じた産経新聞(산케이신문)前ソウル支局長に対し、検察が起訴方針を決定したことをめぐり、与野党は10日、攻防を繰り広げた。攻撃の口火は野党が切った。「メディア全般に対する威嚇・脅迫」とし、国の地位や品格が失墜したと激しく批判した。最大野党の新政治民主連合では、印在謹(イン・ジェグン:인재근)議員(非常対策委員会委員)が同日午前、国会で行われた非常対策委員会で「大統領の名誉を守ろうとしたことで韓国の名誉を毀損した。」「『過ぎたるは及ばざるがごとし』だ。検察の盲目的な忠誠が事態をダメにした。検察と大統領は国際的な笑い物になった」と述べた。また「大統領の過剰反応と検察の過剰忠誠が、一新聞社や記者の資質の問題で終わるはずだったことを、韓国という国の品格問題に発展させてしまった」「大統領個人の名誉よりも韓国の名誉の方が重要だ」と語った。 同党のキム・ジンウク(김진욱)副報道担当も「世界の主要メディアが韓国の言論の自由に疑問を呈しており、非常に恥ずかしいことだ。『何か一言言ったためにネズミも鳥もいつの間にか消えてしまった維新時代(유신시대)(朴正煕〈パク・チョンヒ:박정희〉元大統領の独裁時代)』を連想させる、というのが一般常識のようになっている」と批判した。統合進歩党の洪性奎(ホン・ソンギュ:홍성규)報道官は記者会見で「恥ずかしいが、惨たんたる現実だ。『大統領冒涜(ぼうとく)罪』の冷酷な刃は外国メディアまでも狙っている。朴槿恵政権の残りの任期は『言論自由国』回復を期待するどころか、『言論統制国』転落を心配しなければならない状況だ」と指摘した。正義党のキム・ジョンミン(김종민)報道官も「韓国の民主主義は再び国際社会の笑い物になり、外交問題にまで飛び火する兆しを見せている。ここまで来ると、過去の軍事独裁政権よりもひどい女王独裁政権だと言えるだろう。メディア弾圧こそ国民に対する冒涜であり、国の地位を失墜させる」と強く言った。これに対し、与党セヌリ党は「検察が産経新聞の加藤達也元ソウル支局長を起訴したのは、虚偽の報道によって韓国大統領の人格と品格を毀損したことに対する当然の措置だ」と突っぱねた。イ・ジャンウ(이장우)院内報道官は記者会見で「法の前には誰も例外ではない。産経新聞は外国メディアだが、事実確認という最低限のメディアの使命を無視したまま、虚偽の報道をしたことについて明確な責任を取るべきだ」と述べた。同報道官は「さらに、一国の大統領に向かって市場街でしか話されない根拠のないうわさを報じたのは、産経新聞自ら無責任なメディアだということを傍証している。加藤元ソウル支局長の虚偽報道は韓国に対して行われたため『治外法権』の対象にならず、韓国で法を犯したなら国内法が適用されるのは至極当然だ」と説明した。また「検察起訴に対し日本のメディアが『外交問題に飛び火』『言論弾圧』と激高し問題を拡大させているのは開き直りであり、道理に合わない。むしろ産経新聞は虚偽報道によって韓国の国益がかかった名誉毀損について謝罪すべきで、虚偽報道に対する法的措置に対し責任を果たすべきだ」と声を荒らげた。