演出家の鈴木忠志氏 ソウルで舞台「リア王」
2013年07月12日 23:15
日本の演出家、鈴木忠志(스즈키 타다시)氏が演出する舞台「リア王(리어왕)」が今秋韓国で公開される。2008年の舞台「エレクトラ」から5年ぶりの日韓合作作品となる。鈴木氏は1966年に劇団「早稲田小劇場」を立ち上げ実験的な演劇活動を繰り広げるなど、日本演劇史の代表的な担い手である。独自の俳優訓練法「スズキ・トレーニング・メソッド(스즈키 배우 훈련법)」は世界的にも高い評価を集めてきた。今回の韓国公演も、同メソッドを体得し鈴木氏の演劇論を理解する韓国の俳優を十分確保できたとの判断から企画に至った。韓国と日本の役者15人が出演する「リア王」は、10月9~10日にソウル・大学路のアルコ芸術劇場で上演される。鈴木氏は、病む人が多くても治療する人がいないこの世の中の話を劇で表現するのだという。「リア王」では家族という強い結びつきが崩壊する過程を繊細に描く。日本では富山県利賀芸術公園を活動拠点としており、世界各地から芸術家を迎えている。この利賀で日本や韓国、中国、台湾などアジアの演出家が参加する作品展を開く予定だ。来年からアジアの演劇教育機関とともに国際演劇教育キャンプも開催する。鈴木氏は70歳を超えた今も、演劇を通じた理想の実現に夢見る。より良い生き方を提示するという、揺るぎない信念を持っている。