日本マンガの海賊版が今なお韓国に

2015年05月04日 18:55

日本の大衆文化について語る上で、欠かすことができないのが漫画『ONE PIECE(원피스)』だ。1997年から連載されているこの漫画(만화)は「ワンピース(원피스)」という未知の宝物を探そうとする善良な海賊たちの冒険を描いた作品だ。テレビアニメ(애니메이션)や映画、文具など、メディアミックス(一つのコンテンツをもって複数の事業を展開する)としても大成功を収めた。世界約30カ国に輸出され、韓国でも早くから地上波、ケーブルテレビ局で放送されてきた。韓国の漫画喫茶やレンタル店に『ONE PIECE(원피스)』のない所はないと言われるほどだ。『ONE PIECE(원피스)』の人気ぶりを示すニュースが最近、相次いでもたらされた。3月12日には韓国の文化体育観光部(한국 문화체육관광부)が、無断で複製された『ONE PIECE(원피스)』のフィギュア(캐릭터 인형)1746個を押収し、販売業者を立件した。韓国で著作権を侵害した無断複製のフィギュア(캐릭터 인형)が摘発された初めてのケースだ。このニュースは、韓国における日本の大衆文化解禁と日本での韓流ブームの前までは、「無視(무시)」と「コンプレックス(열등감)」という二つの物差しによってゆがめられていた、日本の大衆文化に対する韓国の視線を思い起こさせる。1998年に初めて解禁されるまで、日本の映画や音楽など大衆文化の解禁を唱えるのは社会的なタブーだった。植民地支配を受けた立場としての距離感や、わいせつな作品が多いという先入観、韓国の文化を変えてしまうのではないかという不安感などが一体になった恐怖感は、大雑把で漠然としながらも、強力なものがあった。この恐怖感によってかんぬきを掛けられた韓国社会で、日本の大衆文化に対する視線は奇異なものになった。その代表的なものが漫画(만화)やアニメ(애니메이션)だった。1970-90年代、地上波テレビ局は日本のアニメ(애니메이션)の主人公の名前を韓国式に変え、日本の漢字やかなを消すことによって、韓国の作品のように見せ掛けた。漫画喫茶や文房具店には、正体不明の韓国人を原作者とした日本の漫画の海賊版(해적판)があふれた。ほかの分野でも事情はさほど変わらなかった。日本の映画やドラマ、音楽作品などが、密輸や海賊版(해적판)の持ち込みによってこっそりと消費され、テレビやラジオでは、日本のものをまねた疑いが強い番組や歌が登場した。だが、メディアの発達や日本文化の解禁によって、韓国の消費者の目が鋭くなり、それによって日本のものをやみくもにまねる慣行は影を潜め、コンテンツの自生力を高めるきっかけになった。韓流ドラマやK-POPアーティストの日本でのヒットは目覚ましいものがあり、3Dアニメやウェブ漫画などでは日本に勝てるまでになった。このような状況で、依然として日本の漫画(만화)の無断複製が韓国で売れているというニュースは、韓国の大衆文化の姿を過去に逆戻りさせる悪材料であると言える。