日本と韓国のフィリピン支援隊派遣の違い
台風30号がフィリピンを襲ってから既に12日が過ぎた。死者・行方不明者数は5600人を超え、約300億円近い財産被害が出た。一国だけでは到底、背負い切れないほどの大災害だ。安倍首相は台風被害が明らかになった2日後の10日、フィリピン大統領に「あらゆる支援をする用意がある」と述べ、専門家を派遣した。その翌日には菅官房長官が「フィリピン政府からの要請があれば、医療支援などのため自衛隊を迅速に派遣できるよう政府内で調整している」と発表した。フィリピン政府はすぐに日本の申し出を受け入れ、安倍首相は13日、自衛隊員約1000人の派遣を指示した。これにより、17日と18日に自衛隊艦艇3隻と航空機16機、医療・工兵要員1180人がフィリピンに向け出発した。日本は第2次世界大戦時にフィリピンを占領し、被害者加害者の関係にあった。これに対し、朝鮮戦争時にフィリピンは5歩兵大隊7420人を韓国に派兵した。このうち112人が死亡、57人が行方不明となり、299人が負傷した。真っ先に支援の手を差し伸べなければならないのは韓国の方なのだ。しかし、韓国国防部は18日になってやっと「フィリピンが韓国軍派遣を要請した場合に備えて工兵・医療隊の派遣を検討している」と表明した。同日までに外交部がフィリピンと派遣問題を話し合った形跡もない。今後フィリピンから派遣要請を受け、政府が同意案を送れば、国会が審議して処理しなければならない。こうした手順を全て経れば、一刻を争うフィリピンの緊急救援状況はすでに終わっている可能性がある。韓国の対応が遅れている要因は、あらゆる海外派兵に対し国会の同意を得なければならない現行法のためだ。米国・ドイツ・フランスでは災害救援のための海外派兵は議会の事後承諾を得ればいいようになっており、日本も国会の同意なしに自衛隊を派遣できる。現在の日韓の最大の争点は、日本が平和憲法を改正して、集団的自衛権の行使を推進していることにある。だが反対する国は韓国と中国しかない。米国・欧州連合(EU)・英国・ロシア・オーストラリアはもちろん、日本が第2次世界大戦時に直接被害を与えた東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国も日本を支持している。日本は首相がASEAN諸国の全てを歴訪、今回のフィリピンのように大災害が発生した際には速やかに支援して外交的関係を着実に築いてきたために、それらが奏功しているのである。