日本で苦戦の韓国ミュージカル
東京・六本木に今年4月、韓国ミュージカルを上演する「アミューズ・ミュージカルシアター아뮤즈뮤지컬시어터」がオープンし、韓国のミュージカル界を活気付けた。創作ミュージカルが日本向けの文化コンテンツ輸出の原動力になるという見通しの下、韓国政府はミュージカルを「5大キラーコンテンツ」の一つと位置付け、積極的な支援に乗り出した。だが、現在の日本における韓国ミュージカルはビジネスモデルによって温度差が浮き彫りになっている。アイドルを起用した大作ミュージカルはチケットが完売するなど好調が続いているものの、小規模ミュージカルは不振となっている。アミューズ・ミュージカルシアターで今月9日、「兄弟は勇敢だった?!」が上演されたが、901席ある客席のうち半分も埋まらなかった。KBSドラマ「笑ってトンヘ」が日本でも放送され、日本のファンも多いチ・チャンウクが主演したが、上演10日目を迎えるとチケットの売れ行きが鈍くなった。一方、10日に東京・渋谷のBunkamuraオーチャードホールで公演初日を迎えたミュージカル「三銃士」は、約2000席の客席が満席となった。2PMのJun.kが主役を演じ、観客から大歓声とスタンディングオベーションが起きた。「三銃士」と「兄弟は勇敢だった?!」は、日本における韓国ミュージカルの対照的なビジネスモデルとして挙げられる。まず、「三銃士」はJun.Kや2AMのチャンミン、SUPER JUNIORのキュヒョンらを主役に起用し、日本の中年女性を中心に形成されている韓国アイドルの人気を活用した。作品も韓国オリジナルのものにこだわらず、アジア地域をターゲットにした豪華な舞台演出で大作ミュージカルに仕上げた。制作会社は昨年、同様の戦略で日本上演した「ジャック・ザ・リッパー」が、日本ミュージカル興行ランキング7位を記録したことを踏まえると、このまま行けば「三銃士」は5位に食い込むと見通した。一方の「兄弟は勇敢だった?!」は韓国色を強く打ち出した作品だ。これまで上演された「カフェ・イン~愛は偽り?!~」「シングルズ~29歳のクリスマス~」「風月主~美しきファランの禁断の愛~풍월주」はいずれも興行的に失敗したとされる。日本での「ミュージカル韓流」はジャンルや作品自体が持つ力というよりは、「K-POP韓流」から派生した錯覚だというのだ。また、20~30代をメーンターゲットにする韓国の創作ミュージカルの場合、40~50代の主婦が観客の大部分を占める日本市場でどのように活路を見いだすか考えるべきだという指摘もある。