日朝協議を主導した第2の「ミスターX」

2014年06月02日 20:43

昨年末、北朝鮮の国家安全保衛部の柳敬(リュ・ギョン:유경)副部長の後任を名乗る人物が日本政府に「拉致問題をめぐる交渉を再開しよう」と持ち掛けた。柳氏は2002年に水面下の交渉を通じ、日朝首脳会談と拉致被害者の一部送還を実現させた人物であり、日本では「ミスターX미스터 X」と呼ばれていた。柳氏は2011年に粛清されたと伝えられる。朝日新聞によると、日本は連絡を取ってきた保衛部関係者を柳氏の後任という意味で「第2のミスターX2의 미스터 X」と呼んでいるという。後任者のメッセージを伝えたキム・ジョンチョル氏は、02年にも柳氏と日本の外務省との実務的な連絡を担当した人物だ。当時日本政府は保衛部の「ミスターX미스터 X」が本格的に動いている以上、交渉に成果があり得ると判断し、北朝鮮との秘密交渉に着手した。日本政府は「張成沢(チャン・ソンテク:장성택)氏の処刑で中国との関係が冷え込んだ時期だったため、北朝鮮が経済支援を得るため、積極的に交渉に乗り出す可能性が高い」と判断した。ミスターX미스터 Xが所属する保衛部は、張氏の処刑を主導したとされる。02年当時、官房副長官として日朝首脳会談の実現の全過程を見守った安倍現首相は、交渉に積極的に応じるよう指示した。「第2のミスターX2의 미스터 X」は11年にも当時の民主党政権に交渉再開を打診した。しかし、交渉経験がなかった民主党政権は、半信半疑で消極的に対応し、交渉は中断した。ミスターX미스터 Xの仲介で、今年310日から14日にかけ、拉致被害者の象徴的人物である横田めぐみさんの両親が、めぐみさんの娘、キム・ウンギョン(김은경さんとモンゴルで面会を果たし、交渉が加速した。日本は面会実現を受け、ミスターX미스터 Xが金正恩(キム・ジョンウン:김정은 )第1書記にも通じる人物で、北朝鮮が真剣に交渉合意を望んでいると判断し、3月末に秘密交渉を局長級の正式な協議に格上げした。