尹東柱が見る日韓関係

2015年03月03日 17:47

朝日新聞(아사히 신문)は普段、原稿用紙4-5枚分の社説を2本掲載する。ところが2日には、三一節(独立運動記念日)を迎えた韓国について、普段の倍の分量の社説を1本掲載した。これは極めて異例だ。この日の社説は先月、東京の立教大学(릿쿄 대학)にあるチャペル(礼拝堂)で、韓国の国民的詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ:윤동주)の没後70年に合わせて行われた朗読会の模様を描写し、尹東柱の「序詩서시」を引用したものだ。以下、その全文を要約する。「尹東柱をしのぶ集会が先月、日本各地で開かれた。植民統治下で彼は研ぎすまされた感性をハングルでつづった。『平沼(히라누마)』という日本式の姓に改め、立教大学(릿쿄 대학)に入学した後、京都の同志社大学(도시샤 대학)に転学したが、そこで彼の人生は暗転した。独立運動に関与したとして逮捕され、27歳で獄死した。それから半年後、朝鮮は日本の支配から解放された。彼が後輩に贈った手書きの詩集『空と風と星と詩』は、後輩の母親が床下の甕(かめ)に隠して保管し、3年後に出版された。有名な『序詩』はこう始まる。『空を仰ぎ 一点の恥辱(はじ)なきことを/葉あいにそよぐ風にも/わたしは心痛んだ』(中略)彼の詩は今も両国を結びつける。立教大のチャペルでは300人を超える人々が序詩を朗読した。彼は日本人の学生とも親しくしていた。西岡健治(니시오카 겐지)・福岡県立大名誉教授(후쿠오카현립대 명예교수)は『日韓関係がぎくしゃくしても、尹東柱の詩の話となれば不思議と素直になれる』として、これを『尹東柱マジック(윤동주 매직)』と表現した。日本と韓国は国交正常化から50年を迎えるが、節目の年を祝う雰囲気ではない。韓国の人々は植民地支配によって国と文化を奪われた。一方、日本は経済協力などにより、韓国の発展に大きく寄与してきた。日本は最近の歩みに関心を偏らせ、韓国は過去だけにこだわろうとするのなら、接点は見つからない。尹東柱はなぜ姓を変えたのか。なぜハングルにこだわったか。(日本人である)私たちは考える必要がある。同時に韓国の人々も冷静にこの半世紀を振り返ってもらいたい。安倍政権の与党が昨年末の総選挙で大勝したことで、日本全体が歴史修正主義になびきつつあるかのような主張が韓国で飛び交っているが、これは短絡的な見解だ。両国間には難題が山積しているが、一面的な情報が実像をゆがめていないか、よく見極める必要がある。相手に対する無知は、警戒心や恐怖心をあおるだけだ。尹東柱について研究してきた楊原泰子(야나기하라 야스코)さんは『尹東柱は国と国の関係があっても、決して個人を憎むことはなかった(나라와 나라의 관계가 있어도 결코 개인을 미워하지는 않았다)』と話した。詩人の目に、現在の日韓関係はどう映っているのだろうか」