姜尚中の小説「心」 韓国語版出版へ

2014年08月13日 18:59

在日韓国人で聖学院大(세이가쿠인 대학)(埼玉県上尾市)学長を務める姜尚中(カン・サンジュン:강상중)氏が著した初の創作小説「心(마음)」の韓国語版が出版される。人文エッセー「悩む力(고민하는 힘)」などで人生に対する重みのある質問を投げかけてきた姜氏だが、「心(마음)」では小説の形を借り、死とは何なのか、生きるということはどういうことなのか、人間とは何かといった人生の根本的な問題を省察する。主人公は親友の死に直面した大学生。姜氏は小説で、自らを実名で登場させる。東日本大震災(동일본대지진)の被災地で遺体の引き上げボランティアにも参加した主人公は、姜氏と電子メールをやりとりしながら傷付いた心を開き、人生の意味を知り生きていく力を得る。韓国語版の出版社は12日、著書について「単に個人と個人の交感や癒しだけを描いたものではなく、多くの命を失い近代文明への信頼が崩れた2011年の東日本大震災を経て、生き残った人々がどうやって生きていくべきかという問題意識を内包している(단지 개인과 개인의 교감과 치유만을 그리는 것이 아니라 수많은 인명을 잃어버리고 근대 문명에 대한 믿음이 무너진 2011년 동일본대지진 이후 살아남은 자들이 어떻게 살아야 하는가 하는 문제의식을 담고 있다)」と紹介した。姜氏は自身の母親の生涯をつづった自伝的長編小説「母 ―オモニ(어머니)―」を出版しているが、「心(마음)」は同氏の初の創作小説となる。同書は日本で昨年4月に出版され、30万部以上が売れる人気ぶりを見せた。姜氏は韓国語版の出版にあたり、19日に記者懇談会を行う予定だ。一方、今年1月に日本で出版された姜氏の「心の力(마음의 힘)」も現在、韓国語への翻訳が行われている。