国立中央博物館 高麗鉄造阿弥陀初公開

2016年01月29日 17:38

展示場の中央に結跏趺座(결가부좌)している鉄の仏像철불は、近所のおじさんのようにほのぼのとして見えた。サザエの殻のように結い上げられた頭、平たい顔…。江原道原州(강원도 원주)で出土した高麗の「鉄造阿弥陀仏(철조 아미타불)」だ。胴や頭の一部が壊れ、コンクリートで埋められていたが、保存処理を経てきれいに生まれ変わった。ソウル市竜山の国立中央博物館(국립중앙박물관、金英那〈キム・ヨンナ:김영나〉館長)は最近、新装成った高麗室でこの仏像を初めて公開した。台座を低くして観客の目の高さに合わせ、後ろ姿まで立体的に見ることができるように展示した。ソ・ユンヒ(서윤희)学芸研究士は「高麗の地方勢力を動員して作った鉄仏。首都開京(개경、現在の開城)の華麗かつ貴族的な文化とは異なる土俗的な仏像の顔が、まさしく高麗の地方文化の特徴」と語った。同博物館は今回、常設展示館の高麗室(고려실)と渤海室(발해실)新装した。展示遺物およそ770点のうち、230点余りが初公開。ガラスの陳列スペース場を新たに作って照明も改善し、一段と引き締まった姿になった。2009年の新設後、初めて改編された高麗室(고려실)は、時期により第1室と第2室に分けられた。第1室は、開京(개경)の貴族文化と、明確な地域色を有していた地方文化とを対比した展示になっている。14年に国立中央博物館会(국립중앙박물관회)が日本から購入して同博物館に寄贈した螺鈿の経箱(나전 경함)、青磁(청자)、貴金属(귀금속)などは、高麗王(고려 왕)と門閥貴族(문벌 귀족)の洗練された文化を物語る。一方、鉄造阿弥陀仏(철조 아미타불)に代表される地方の遺物には、土俗的でありながらも個性の強い、高麗の味が感じられる。