同音異義語の混乱する韓国
昨日に続き漢字の話である。これまで44年にわたり続いたハングルだけの教育が生んだ、漢字知識の欠落現象、これが最近は社会でのコミュニケーションの食い違いを引き起こし、憂慮の声が高まりつつある。言葉の意味をしっかりと理解できないため、コミュニケーションの際に解釈の混乱を引き起こしているのだ。とりわけ若い人ほど漢字知識の欠落は深刻で、時には世代間でコミュニケーション上の混乱あるいは断絶まで引き起こしている。韓国語で発音・表記が全く同じ「義士(의사)」と「医師(의사)」を勘違いし、「安重根義士(안중근 의사)」について「その人は何科を診療していたのか」と質問してきたり、「靖国神社(야스쿠니 신사)」の「神社(신사)」を、発音の同じ「紳士(신사)」と誤って解釈するケースなどがその典型例だ。『いよいよ、韓国経済が崩壊するこれだけの理由』の著者で「韓国についてよく知らないくせに韓国を悪く言っている」などと批判を受ける日本人の三橋貴明氏も「韓国では発音・表記が同じの『防水(방수)』と『放水(방수)』を区別できない」と指摘する。問題はこの「コミュニケーション不能現象」が、さまざまな分野で深刻な誤解と行き違いを招いているという事実で、これは時には特定分野の専門家の間でも発生している。ある大学病院に勤務するA教授によると、最近の若い医師たちは「妊婦の陣痛(임산부의 진통)」と言うときに「陣痛(진통)」と「鎮痛(진통)」を区別できないという。「鎮痛(진통)」はもちろん「痛みを鎮める」という意味だ。A教授は「このままでは本当に大変なことになると思った」と語る。ソウル市内に住む主婦のBさんは先日、歌手で俳優のイ・スンギ(이 승기)(26)と少女時代ユナ(윤아)(本名:イム・ユナ:임 윤아、23)の交際報道について、中学生の娘に「どうやって誰にも知られずあんなことができるのか分からない」と言った。すると娘はおかしいという顔で「あの人たちがそんなことをするのは当然じゃない」と言ってきたという。よく聞くと娘は「演芸人(芸能人のこと)(연예인)」という言葉を、「恋愛人(연애인)」という意味に理解していたのだ(ハングルでは「演芸人(연예인)」と「恋愛人(연애인)」は同じ発音になる)。大田市のある四年制大学では、学内で発行されている週刊英字新聞発行業務を担当する「主幹教授(주간 교수)」のことが「Weekly Professor」と訳されていた。「主幹(주간)」と「週刊(Weekly:주간)」はハングルで同じ表記になるからだ。