北の日本人拉致調査 3月から始まっていた
北朝鮮は今月に日本人拉致問題などを調査する特別調査委員会(특별조사위원회)を設置したと発表したが、実際は3月からすでに特別チーム(TF:태스크포스)を立ち上げ、調査を進めていたもようだ。在日本朝鮮人総連合会(재일본조선인총연합회)(朝鮮総連:조선총련)のある消息筋は17日、「北朝鮮は今年3月12日に金正恩(キム・ジョンウン:김정은)第1書記の方針に基づき、日本人遺骨などを調査する『312グルパ(312그루빠)』を設置し、すでに実際の調査に乗り出した」と明らかにした。北朝鮮は最高指導者の指示を遂行するため、急きょ設置する特別チームを「グルパ(그루빠)(専門担当班:전담반)」と呼ぶ。グルパ(그루빠)の前の数字には設置方針が決まった日にちが付けられる。「312グルパ」は朝鮮労働党が指導し、関連官庁が協力する形態で運営されている。表向きの活動目的は「無職者、放浪者の全数調査(무직자, 방랑자 전수조사)」だが、実際は日本人拉致被害者일본인 납북자)や北朝鮮に渡ってきた日本人(북송 일본인)の生活実態調査が基本目的だという。北朝鮮は今月4日、日朝合意に基づく拉致問題などの特別調査委員会(특별조사위원회)を発足し「すべての日本人に関する包括的調査を開始することになる」と発表したが、内部的にはすでに実務チームを立ち上げ、調査を行っていたことになる。「312グルパ(312그루빠)」は日本人生存者の調査のほか、1930年代以降に現在の北朝鮮地域で死亡した日本人の遺骨を調べる作業を行ったとされる。金第1書記の「3月12日方針(3월 12일 방침)」は日朝政府による非公式協議が行われた直後に出されたことから注目される。北朝鮮外務省(북한 외무성)の劉成日(リュ・ソンイル:유성일)課長と外務省の小野啓一(오노 게이치)北東アジア課長は今年3月3日、中国・瀋陽(선양)で開かれた日朝赤十字会談で非公式に接触したが、当時、協議の内容は公開されなかった。