世界遺産 華城
2014年04月23日 19:14
ソウルから車・地下鉄で約1時間の京畿道(キョンギド:경기도)水原(スウォン:수원)市の中心部を取り囲むようにして建つ壮大な都城が「華城(ファソン:화성)」である。朝鮮王朝後期の1794年、第22代王・正祖(チョンジョ:정조)が政争により悲運の死を遂げた父を悼み、2年8カ月の歳月をかけて造り上げたのもだ。設計は当時盛んだった実学(現実生活に役立つ実用的な学問)を若くして究めた丁若鏞(チョン・ヤギョン:정약용)が担当。朝鮮古来の築城法に加え、石とレンガの併用といった西洋の近代的な建築技法を清(中国)から導入し、優れた機能性と建築美を兼ね備えることができた。当時の工事記録も完全な形で現存しており、建築史的にも高い価値を有する城郭としてユネスコ世界文化遺産(유네스코 세계문화유산)に登録されている。設計者の丁若鏞(정약용)は築城にあたり、滑車やテコの原理を利用して重いものを持ち上げる現代のクレーン、「挙重機(コジュンギ:거중기)」を発明した。また建築資材を規格化し運搬しやすくするなど、実用的かつ画期的な工事手法をいくつも編み出した。こうした実学精神に基づいた知恵と工夫は、大幅な工期短縮だけでなく、民衆の労を軽減したり経費節減にもつながったと言える。華城(화성)には、城壁に沿って東の蒼龍門(창룡문)・西の華西門(화서문)・南の八達門(팔달문)・北の長安門(장안문)からなる4大門(4대문)や砲台、やぐら、楼閣など41の建造物が現存している。日本による植民地時代や朝鮮戦争を経るなかで時に大きな被害にも遭ったが、70年代に政府の計画により復元・改修された。