イ・サンファの太もも
ソチで開催されている冬季五輪・女子スピードスケート500メートルで金メダルを獲得したイ・サンファ(이상화、24、ソウル市庁)は、太ももの周囲が58.4センチに達する。これはかつてのハリウッド女優ビビアン・リーのウエストサイズとほぼ同じだ。筋肉の繊維には速筋と遅筋の2種類がある。イ・サンファ(이상화)の大腿(だいたい)部は80%が速筋だそうだ。速筋はその言葉通り素早く動く筋肉で、遅筋は収縮のスピードでは速筋に劣るが持久力がある。筋肉は太い糸のような繊維の束が数百本単位で集まって形成されているが、速筋繊維は収縮が速くパワーがある。一気に収縮したかと思えばすぐに弛緩し、これを繰り返すのだ。スポーツ選手は自らの筋肉の特性に合わせて種目を選択、あるいは種目に合わせて必要な筋肉を集中的に鍛える。女子スピードスケート500メートルのイ・サンファ(이상화)の大腿部が、男子1万メートルのイ・スンフン(이승훈)よりも太いのはそのためだ。息もせず一気に駆け抜ける男子100メートル走のウサイン・ボルトの筋肉は速筋の固まりで、マラソンのイ・ボンジュ(이봉주、2009年引退)は遅筋のボディーだ。サッカーでは相手よりも一歩早く動かねばならない前線のストライカーとゴールキーパーは速筋型で、パク・チソン(박지성)のようにピッチを常に走り回る中盤のミッドフィールダーは遅筋型だ。速筋は強度のウエートトレーニングにより肥大する。イ・サンファ(이상화)がトレーニングの際によくやるように、重いバーベルを肩に抱えて立ったり座ったりを繰り返すスクアット運動はそれに最適だろう。遅筋のトレーニングにはジョギングや水泳、早歩きなどが良い。若い時は力を使うことが多いため速筋を鍛え、年齢を重ねれば長時間にわたり体力を維持するために遅筋を鍛えなければならない。鍛え抜かれた太ももは下半身のスプリングのような役割を果たすだけでなく、膝関節の摩耗を減らし、退行性関節炎を予防する。太もも回りは運動選手にとってはパフォーマンスを測る一つの指標となり、一般人には血圧や血糖と同じく健康のバロメーターだ。いずれにしても太ももを鍛えて損をすることはないだろう。