韓国の漢字教育の現状

2013年06月30日 23:45

韓国のある中学校の歴史担当教諭から、こんな話を聞いたことがある。「最近の子どもたちの中には、安重根(アン・ジュングン:안중근)を医師(의사)だと思っている子もいる」。韓国で安重根を呼ぶときの敬称「義士(의사)」と「医師(의사)」の発音が同じためだ。記者は半信半疑だったが、実際にそのようなことがあるようだ。数日前、あるテレビ局のリポーターが、通り過ぎる子どもたちに「靖国神社(야스쿠니 신사)について知っているか」と尋ねたが、子どもたちは日本の神社(신사)と「紳士신사」を勘違いしていた。「神社」と「紳士」も韓国語の発音は同じだからだ。昨年、KBSテレビの高校生対象のクイズ番組『ゴールデンベル』で「耳鼻咽喉科(이비인후과)とは、体のどの部分の具合が悪い人が行く所か」という問題が出た。易しい問題が10問ほど続いていたので、番組の制作スタッフたちもそれほど難しくはないと考えたようだ。ところが、この問題では間違えた生徒が続出した。「耳鼻咽喉科(이비인후과)」の文字をばらし、それぞれ「耳」「鼻」「喉」を意味するということを知っていれば、簡単に解ける問題だった。国語辞典に掲載されている韓国語の語彙のうち、70%は漢字語だ。子どもたちに知識を与える教科書では、漢字語の単語や用語が90%に及ぶ。漢字語を、誰でも簡単に理解できる簡単な純韓国固有語に変えることができればよいが、現実はそうたやすくない。このため、漢字を知らない子どもたちが、ハングルだけで書かれた漢字語の単語だらけの教科書で勉強するということは、暗号の解読並みに難しいことだ。勉強に対する興味を持てないだけでなく、内容を全く理解できないという事態にもつながっている。