潘国連事務総長の癖

2013年08月28日 15:29

韓国を訪問中の国連の潘基文事務総長(반기문사무총장)は26日、韓国外務省で記者会見し、歴史認識問題をめぐり日本と中韓との対立が深刻化していることについて「日本政府と政治指導者は自らを深く顧みて、国際的な未来を見通すビジョンを持つことが必要だ」と述べ、日本政府に注文を付けた。世界190カ国以上の加盟国から構成されている国連の事務畑のトップの国連事務総長が日韓の歴史認識問題で一方の立場に立った見解を表明することは極めて異例なことである。韓国に帰国中の発言であり、事務総長も気の緩みでたがが外れたのではないかと言う見方もあるが、事務総長には昔からある癖があった。日韓問題になると、自分の立場を忘れて感情に走ってしまうのである。潘基文事務総長が韓国の外交通商相(外務大臣)時代の2005年、ブリュッセルの欧州議会を訪問し、その直後の記者会見で「欧州議会も小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝を批判した」と発表したのだ。当時の韓国通信社の報道によれば、潘基文外相は欧州議員との会談後、「第2次世界大戦参戦国として日本軍の犠牲となった欧州の国民の視点から見ると、靖国神社参拝は受け入れられないという意見が多かった」と報告し、「靖国参拝を問題化するのは韓国と中国だけ」といった当時の麻生太郎外相の発言を否定して見せた。しかし、欧州連合(EU)の欧州議会朝鮮半島外交協議団団長のウルズラ・シュテンゼル欧州議会議員によれば、潘外相との会談は非公式な性格のもので、日本首相の靖国神社参拝が議題であったわけでもなく、1人の記者が質問したので、欧州議員の誰かが答えただけに過ぎないとのことだった。欧州議会が小泉首相の靖国神社訪問を正式に批判したという発言は過剰な表現であり、事実とは異なっていると明確に否定した。すなわち、韓国潘外相の発言は政治的意図を含んだ一方的な解釈であり、事実ではなかったことが明らかになったわけだ。一国の外相の立場にありながら、日本との歴史認識問題では事実を正しく報告せず、国内世論に迎合する虚言・妄言を平気でできるのだ。残念ながら、国連事務総長になってもその癖は治っていない。その意味では、今回の潘事務総長の韓国での問題発言は驚くに値しないわけだ。未来志向的な隣国関係を提唱してきた李明博前大統領が任期満期間際に突然、竹島を訪問したように、韓国の政治家、外交官には日本との問題となると途端に自制心を失い、感情に走る癖がある。潘国連事務総長もその代表的な人物に過ぎない。