易地思之(ヨクチサジ:역지사지)
皆さんは易地思之(ヨクチサジ:역지사지)という言葉をご存じだろうか?相手の身になって思うことを意味している。4月4日午前11時頃、全南(チョンナム)地方警察庁に「全南木浦(モクポ)市上洞(サンドン)のショッピングセンターの近くで女性が裸で歩き回っている」という通報が入った。通報を受けて出動した木浦警察署の女性警察官は、20代の女性が裸で街を歩いていることを発見した。女性警察官は近くの店で下着を買ってこの女性に着させ、レインコートで身体を覆って警察に連れてきて家族に引き渡した。この女性は家族と共に精神病院へ行ったという。女性は約10分間歩き回った街は人通りの多い繁華街だった。だが全裸女性が歩き回る状況を見て、「保護が必要だ」といって警察へ通報したのはたった4件だった。女性が歩き回る間、近づいて服を覆ってあげるなど、女性を助けたり、保護しようとしたりした市民は一人もいなかったようである。更に酷いことに、一部の人は道の反対側や車中から携帯電話で女性の全裸を撮った。一部はこの女性の後に付いて回りながら撮影した。以後、裸体写真と動画がインターネットと携帯電話で一瞬に韓国中に流れた。警察はインターネットに出ている写真と動画は最低10件あると推定している。女性の家族が「写真と動画を撮影して流布した人々を処罰してほしい」と警察に要請した。警察は撮影者も流布者も処罰が可能であると話している。他人の不幸から目をそらすのも非難されるに値するが、一層ひどいことに、冷やかし感覚で破廉恥な画像や動画を流布させる振る舞いはあきれるほどである。隣人の不幸を楽しむ社会は、決して健全だとは言えない。過度な競争にさらされながら、ますます自分のことだけを考える極度の利己心と、他人の不幸を共有できない極端な不感症を露呈している。家庭や学校での人間性教育と社会意識教育が急務であろう。このような荒廃した社会では、未来への希望を見出すことはできないのである。易地思之の心を持てるように、しっかりと教えなければならない。これは日本にとって対岸の火事ではない。同様の事案が発生すれば、もっと恥ずかしい結果が起こるかもしれない。