大正の叙情 竹久夢二

2016年08月02日 23:28

20世紀初めの日本は、目まぐるしく変化していた。侍たちが大手を振っていた日本列島に押し寄せた西洋文物は、既存の文化と価値観を覆してしまった。繊細な感覚を持って生まれた竹久夢二(다케히사 유메지:1884-1934)は、流れる川のように、揺らめく帆掛け船のように生涯を送り、絵を描き詩を書いて世をさすらい、涙のあふれる暮らしに身を任せた。本書は、その波乱万丈の芸術の記録だ。やつれたような細いペンで、白い紙にぼんやり描き出された女性画、別名「夢二式美人図유메지식 미인도」と共に、短いが神秘的な文がどっさりと散りばめられている。「泣けるときには泣くがいい/もうたくさんだといふほどお泣き/(中略)/青春がだんだんと過ぎると/泣くことも笑ふことも/出来なくなるときがくる(울 수 있을 때 울도록 하자/ 실컷 울었다 싶을 때까지 울도록 해/ (...)/ 청춘이 차차 지나고 나면/ 울 수도 웃을 수도/ 없을 때가 오리니)」 実に100年前の告白だが、時を超えてじんわりにじむ共感と感動が味わい深い。大正時代に入り込み、月光差す夜の街を、手を取り合って歩くかのような印象が実に良い。191ページ、1万3800ウォン(約1290円)。